断熱と蓄熱と言うと、なにやら相反するように聞こえませんか?
ある意味では相反していますが、その効果を検証すると同じ意味合いにもなります。
住宅の断熱材は、通常内壁の中か外壁などに施工されます。もちろん天井裏や床下にも入っています。
私どもでは内壁の中にグラスウールというガラスで作られた綿上の素材です。ガラス素材ですから当然、燃えにくくなっています。
この断熱材ですが、夏の暑い外気や冬の冷たい外気を室内に伝えにくくすることと、適温に保たれた室内の温度を外に逃がしにくくする役割があります。
イメージしていただきたいのですが、夏の暑い外気は、外壁に触れ外壁を暑くします。それを内壁内の断熱材に伝えます。ここで伝えられた熱を室内にまで伝達させないようにする役割です。
当然のことながらこの断熱材は熱を伝えられているわけですから、温度も上昇します。
ということは、断熱材は熱を断つのと同時に熱を溜める、つまり蓄熱しているということです。
断熱材の密度をあげることで、なるべく蓄熱した熱を室内まで伝えないようにしているという訳です。
冬は反対です。さらに、冬は室内の暖気を内壁内で蓄熱し、その暖かさを外壁に逃がさないまさに蓄熱を行っていることになります。
この断熱材ですが、沢山の種類があります。グラスウールやロックウール、本物のウール、古新聞等を細かくして綿状にしたもの、発泡性の吹きつけたもの、発泡スチロールのようなものなど様々です。
実は断熱、蓄熱性能が結構いいのが空気です。空気断熱なんていう断熱方法もあります。表現はよくありませんが、ホームレスの方が使用しているダンボールハウスは、ダンボールの中に走るストロー状の空気層が断熱、蓄熱性を発揮しています。
天童の西沼田遺跡は、古墳時代の遺跡で、当時の掘っ立て式竪穴住居を復元しています。
壁面をカヤで葺いていますが、この厚さはなんと30センチ以上もあります。カヤはまさにストロー上の空洞があり、これを積層しているのですから、現代の家より断熱性能が上だったかもしれません。まさにカヤ式空気断熱ですね。
さらに水です。ペットボトルを手に持っていると、いつのまにかひと肌の水温になっているのを経験したことはありませんか?
水は熱伝導性が高い物質です。濡れ雑巾で沸騰した鍋をつかむと一瞬にして熱が伝わりヤケドしてしまうのはそのせいです。また、水は保温性に優れています。湯たんぽが活用されるのもそのせいですね。
案外、内部の間仕切壁にペットボトルに入った水を隙間なく積み重ねておくと、室内の蓄熱が効率よく出来たりするのかもしれません。火災の折には、一瞬で鎮火なんていうメリットも。
夏涼しくて冬暖かい住宅は、山形盆地では必須条件です。
断熱性能は、使用している断熱材もさることながら、施工方法が正しく成されているかの方も大切です。
こんなところにも目を向けて住宅を見てみてはいかがでしょうか。
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