『上棟式』は、ここまでの新築工事が無事に進んだことを感謝し、竣工後も建物が無事であるようにと神々に祈願する祭祀です。
神社本庁の「諸祭式要鋼」には上棟式の基準を示してありますが、それによると、
祭神は屋船久久遅命(やふねくくのちのみこと)、
屋船豊宇気姫命(やふねとようけひめのみこと)、
手置帆負命(たおきほおいのみこと)、
彦狭知命(ひこさしりのみこと)
および当地の産土神です。
式の方法は、業者や地域によって異なります。略式で行うときは、神主を招かずに現場監督が対応します。
「えっ?上棟式って神様に挨拶するものだったの?私は業者に挨拶するためのものだと思ってた・・・」って思いませんでしたか?そんな人はとても多いんですよ。
彼らに共通する悩みは、「ご祝儀や挨拶をどうしようか・・・」ということです。
いくつかの調査を見ると、上棟式の費用の目安は 5~30万円程度です。幅がありますねえ~。(中には、60万円以上というツワモノも!)
この内訳は、棟梁や大工へのご祝儀、昼食用の弁当、上棟式用の料理、休憩時の差し入れ、引き出物、ご近所への挨拶の品、吹流し、餅まきをするための餅やお菓子、といったものです。
・・・いやあ、手配するだけでグッタリしそうですね。
予算が厳しい中、これだけの費用負担はつらいですね。そこで、最近は上棟式を行わない施主が増えています。あなたが家を建てる時も、あなたの好きな方を選べます。
ただ、業者によっては、「棟梁には○万円、ほかの大工には○万円。そして営業マンには・・・」と細かく指示するケースがあります。
(どうして営業マンに渡す必要があるのか、私にはさっぱりわかりません。中には、担当以外の営業マンにも渡せと指示される人もいるみたいです。)
あなたが波風を立てたくないと、その案に従うのは自由です。でも、本当は、自ら謝礼を求めるのは間違いだということは覚えておいてください。ご祝儀というのは、あくまでもあなたの気持ちなんですから。
もしあなたが、「予算は厳しいけれど、何とか感謝の気持ちだけは伝えたい」というのなら、休憩時の差し入れや、昼食用のお弁当の差し入れだけでも十分です。
ただ、上棟の日は応援に駆けつける大工が大勢いますから、普段数人で工事している時とは用意する数が全く違います。
ですから、差し入れをするなら、事前に確認をしてください。
ところであなたは、子どもの頃、上棟式で撒かれる餅を拾いに行ったことはありますか?
私は10回以上はありますね。あの頃は、ほとんどの新築現場で上棟式が行われていました。
当時の施主は、ちょうどあなたのご両親の世代でしょうか。いや、もっと上の世代かな・・・。
たぶん、あなたのご両親は、当時の上棟式が『普通』だと思っているかもしれません。もしそうなら、もしあなたが上棟式を簡略化したり、実施しないとなると、反対するかもしれません。
あなた自身も、「ご祝儀を渡さないと手抜き工事をされるかも」という不安を抱えているかもしれません。
でも、お金を渡さないと感謝の気持ちは伝えられないんでしょうか?
「金をもらえないと気合が入らない」と、手抜き工事をする大工ばかりなのでしょうか?
恐らく、中にはそんな業者もいるでしょう。ただ、自分の家づくりに共感し、依頼してくれたあなたに対して感謝している業者なら、ご祝儀の有無や金額に関係なく、いい仕事をしてくれるはずです。
ですから、負担をつらく感じるような上棟式はやめませんか?身の丈に合った負担で感謝を伝えられる方法を、ご夫婦で考えてみましょう。理をすると、嫌な思い出としてずっと残るかもしれません。************************************
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