バリュー・クリエーションのブログ

中古住宅


  なんですか、日一日と寒くなってきました。ロマンチックなシーズンなんて言う方もおられますが、正直、私は一番嫌いなシーズンです。冬へ向かっての生殺しシーズンとでも言いましょうか・・・・。これなら一気に冬になってくれた方が諦めもつくと・・・。

 昨日、山形県宅地建物取引業協会の研修会がありました。
不動産鑑定士や建築士なども交えての講師講演会でした。内容は、「これからの中古住宅市場について」です。いつになく大人数で、ビッグウィングの階段教室で行われ、講師に立ったのは国土交通省の係長でした。

お話は、これから人口が減っていき、日本中に中古住宅が余り始め、それらの流通マーケットを活性化しないと空き家が激増する。このためには抜本的なスキームを構築しなければならない。
そのためには、正しく中古住宅の価値を評価し、安心して住める中古住宅市場を構築していかねばならない。というものでした。これをご丁寧にデータやグラフを使って、説明してくれました。

今更ながらという感はありました。
しかし、驚いたことにこの類の話を聞くのがほとんどの同業者が始めてのようなそぶりでした。
それは講演後の質問のレベルからもわかりました。

私どもが進んでいるとは言いませんが、私どもは2年前からすでにこの準備を始め、すでにリニューアル仲介などに加盟し、運用しています。中古住宅の診断も実施していますし、ノウハウも持っています。

間もなく始まるとばかりに、メンバーの尻をたたき、先駆けてきましたが、業者ですらまだ理解していないようなスキームを、国土交通省主導で導入していくのかと、いささか不安に思えてきました。

このスキームの中で問題になるのが、どこの業界がイニシアチブを取るのかと、その中古住宅の正しい価値評価を誰がどうやって行うのかです。

 何故なら、宅建主任は、中古住宅取引のことはよく分かりますが、劣化度合いや補修の必要性などは素人です。
建築士は、劣化度合いや補修のことはプロですが、価格評価に関しては門外漢です。
さらに不動産鑑定士は、その現状の価値は評価できますが、劣化度合いや瑕疵による減価に関しては、競売物件評価などではおこなっているにせよ、一般物件の精度ある評価は難しいと聞きます。

 では、このスキームの主役になる「住宅インスペクター(価値評価員)」はだれが行うのでしょうか。
みんなで寄ってたかって、得意な部分をやって合計するか、はたまた3つのライセンスを統合するような新たな国家資格を作り上げなければ、不可能と言うわけです。

 ただし、このスキームは10年先の計画ではありません。国家再建計画の目玉にもなっている政策で、今今動こうと準備を進めているものです。当然、動き始めれば、一気に大量の「住宅インスペクター」が必要になります。その供給源をどうするのかです。

 私は、人見知りするほう?ですので、講演会などでもあまり質問する方ではありませんが、この時とばかり、は縲怩「!!と言って手を上げ、この国土交通省の青年係長に質問してみました。

答えは・・・・・「う縲怩Aおっしゃるとおり、そこが問題ですが、これから意見を集約しておいおい検討し、結論を出します」とのことでした。

耐震基準を満たしていない1981年6月以前に完成した建物も、この「優良な中古住宅」に加えるのかとの質問にも、「これからおいおい考え、結論を出します」と歯切れが悪い。

 うがった見方ですが、役所の担当部署でも、詳細までは詰まっていないのではないかと思います。
担当部署の担当係長からしてこの問答ですから押して知るべしです。

中古住宅の流通活性化については、まだまだ考え方やポリシーをデータベースで検証し、下地を作っている状態で、国も政策として促進には力を入れるけれど、法で縛ったり義務履行を求めるものではないようです。それはそうです。利権団体が3つも4つも複雑に絡んでいるのですから・・・。

こう考えると、この中古住宅の施策は、総論賛成、各論反対で急ピッチでは理解されないでしょうし、スピードも速いとは思えません。その前に政権が変わったら総論はいいとして、各論はどうなるかもわかりません。

やはり、私どもはまだまだ新築市場で、今まで新築住宅を諦めていた方々に資産家になっていただく方法を継続した方が良さそうです。あと、4、5年は・・・・。






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