あなたは、家を建てるのに何カ月位かかるかご存知ですか?
ハウスメーカーなら3か月程度、工務店なら4か月から6カ月。ものによってはそれ以上というのが一般的かもしれませんね。
ハウスメーカーの家づくりは、ある程度パターンが決まっています。だから作業の効率化を図れて、短期間で建築できるのです。
しかし、実際に作業する下請け業者は大変です。
基礎工事など、天気に左右される作業で工程が狂ったら、どこかで帳尻を合わせないといけませんから。
数年前、私の家の近くで、下請け業者さんが建築していました。朝は6時半には来て、夜は10時過ぎまで作業していました。もちろん土曜日もです。
毎朝のように会うので、自然と挨拶をするようになったのですが、いつも疲れ切った顔をしていたのが、深く印象に残っています。
「この人は、自分が建てた家に愛情を持てるのかな?」、そんな疑問が湧いたこともあるのですが、聞きたくない答えが返ってきそうで、結局聞けませんでした。
最近は『待つ』ことを嫌う人が増えているそうです。カップラーメンを作る『3分』すら待てない人もいるとか。
日本の交通機関は時間に正確だし、宅配便は早さを競っています。相手を待たせないようにする文化が、逆に、待てない人を作っていったのかもしれません。
でも、待つからこそ得られるものもありますよね。例えばワイン。
何年も何年もじっくり待ったからこそ、深い味わいが完成します。
じっくり熟成させる期間が必要な食品はいくらでもありますが、その味わいを手にいれるためなら、人はじっと待てます。
では、家づくりではどうでしょう。
「いよいよ作業が始まる。1日も早く完成してほしい」とならないと言い切れるでしょうか。
基礎部分は、しっかり強度が出てから次の工程に入らないと不具合が出る恐れがあります。欠陥住宅の原因にもなるかもしれません。
でも、「そんなことして工期が延びたら、お客さんからクレームが来る」と考える一部の業者は、すぐに次の工程に進みます。そんな人には、数十年後のことまで配慮する余裕はありません。
あるいは、「そこまで考える必要はない」と思っているのかもしれませんね。
ところで、あなたも『孫子』をご存じだと思います。
『孫子』には、待つことの大切さが説かれるシーンが多いのです。
「自分が確実に勝利を収められる時が来るまで、じっと待ちなさい」
「確実な成果を上げるためには、慌てて行動してはいけない」
など、沢山の記述があります。
過去を振り返ると、あなたも、「もう少し待てたら、もっと良い結果が出せたのに」という場面があったかと思います。
私にもそんな経験はあります。
「とにかく早く家が欲しい」と考えていると、あとで「ああっ!」と思う家になるかもしれません。じっくり計画する時間も大切です。
もし行き詰まったのなら、しばらく計画を止める時間も大切です。
一つ一つの工程の確実な仕上がりを、じっと待つ時間も大切です。
あなたの明確な目的を達成するために待つのなら、その時間は、あなたにとって必要な時間と思います。自信を持って、『待つ』ことを選んで頂ければと思います。
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